気ままに誤読録

著者の意図とは違うかもしれないけど、自分なりの気づきを「誤読」として紹介していく、そんな読書ブログです。

【わいたこら。】(新庄剛志)

20億円だまし取られたということでしくじり先生に出演した彼を見てからいろいろ気になっていましたが、すごく示唆に富む、自分の中でいろいろ繋がってくる話が満載な本でした。

 

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まずはやはり才能心理学の視点から。

 

彼のコア・コンセプト(心を突き動かすエネルギーのようなもの)は、彼自身が言っているとおり

 

「チャレンジを楽しむ」

 

といったこと。もう少し説明すると、

 

「何か目指したいゴールがあって、そのゴールがものすごく先にある状態」

 

そういう状態のとき、心がメラメラを燃え、パワーを発揮するそうです。

 

もともと「驚異的な身体能力」を持ち合わせていた彼が選んだスポーツは野球。なぜ野球を選んだかというと「下手だったから」。サッカーや陸上、バレーとかのほうがうまくできたそうです。でも、下手な状態からうまくなっていく、そのプロセスに心が燃える。だから野球を選んだとのことです。

 

そしてプロ野球に入ったときはドラフト5位。一瞬「5位かよ」と残念な気持ちになるも、

 

「期待されていない状態からスターになるってすごくない?」

 

と、チャレンジを楽しむコア・コンセプトが発動し、阪神の中でスター選手になるまでがんばったそうです。

 

で、次は阪神での活躍後にFA宣言をしたときのこと。

彼が選んだのは「5年12億円」の金銭報酬+主力選手という立場で日本球界でプレーするのではなく、年俸2,200万円でアメリカでプレーするということ。

 

ここでも一貫して「チャレンジを楽しむ」です。


また、コア・コンセプトには「こういうのは嫌」という裏コンセプトというものもあるのですが、新庄の場合は「余裕」とかでしょうね。

それは

 

「しゃかりきに頑張らないでも、ある程度のものが得られてしまう」

 

というような状態。

 

日本球界に残った場合はそうなってしまう。

 

だからこそパワーの出る「しゃかりきに頑張らざるをえないアメリカ」を選びました。

 

このへんの感性は、マネックス松本大さんにも似ていたりします。興味のある方は「好き嫌いと経営」(楠木健)を読んでみてください(笑)

 

そしてMLB1年目のニューヨーク・メッツでも、持ち前の高い守備能力を発揮しつつ、打撃でも最後の方は3番や4番を任されるようになります。

守備面では捕殺12でリーグ5位、打撃は圧倒的な数字を残すわけではなかったですが、勝利打点はチーム最多タイなど、彼への期待値からするとかなりの活躍を見せ、翌年年俸も1億円を越えました。


ただ、翌年のサンフランシスコ・ジャイアンツへのトレードは、

 

「チャレンジを楽しむ」ではなく、ある程度地位が確約された「余裕」の状態

 

からのスタートとなってしまいました。

そこからは心からのパワーが生まれない「プレッシャー」との闘いになり、結果うまく行かず、2004年に日本に戻ることになりました。

 

そして、日本に戻ってきた新庄が選んだのは北海道日本ハムファイターズ


当時の日ハムは、翌年に東京から北海道に移転することが決まったばかりで、お世辞にも人気球団とは言えないところからのスタート。


巨人やロッテから声がかかるなか、そんな日ハムを選んだのは、ここでも一貫して「チャレンジを楽しむ」。

 

自分1人でチームをどれだけ強くできるだろう?

自分1人で北海道をどれだけ盛り上げられるだろう?

このチームを優勝させたら、どれだけカッコいいだろう?

 

そんなことを思ったそうです。
で、その後の彼の行動とファイターズの軌跡はみなさんご存知のとおりです。

 

このように、彼の才能の発揮は「コア・コンセプトに沿って決断し、行動してきた」ということで一貫しています。
逆に失敗したときは、それに沿っていなかったとき。

 

でもって、今彼がチャレンジしていることは「歌」だそうです。歌うのはすごく下手なので、先生についてトレーニングしているとのこと。

 

また、失った20億円をまた稼いで取り戻す、というチャレンジも面白くない?とか言ってます(笑)
具体的な手段は明かしてくれてませんけど。

 

ということで、彼のストーリーは才能心理学的に非常にわかりやすい例であり、とにかく純粋な人だなぁという印象を持ちました。

 

と、才能心理学の観点だけでこれだけで長くなってしまいました( ̄▽ ̄;)

他にも

 

 ・父からの影響
 ・運の引き寄せ
 ・才能の闇

 

とかいろいろ書きたいことがありますが、余力があればまた次回にでも(笑)