気ままに誤読録

著者の意図とは違うかもしれないけど、自分なりの気づきを「誤読」として紹介していく、そんな読書ブログです。

(後編)NEW ELITE(ピョートル・フェリクス・グジバチ)を読んで「心理的安全のなさ加減」に強く共感した話

前回の前編では、ピョートルさんが私と同い年だったこともあり、14歳当時、平和な日本で過ごした私と、共産主義→資本主義の大激変の中を生きたピョートルさんの違いにいろいろと思いを馳せ、徒然なるままに思ったことを書きつつ、NEW ELITEの定義について書いてみました。

今回の後編では、NEW ELITEになるためのHOWの部分について、個人的に印象に残ったところをピックアップしてみたいと思います。

なので、毎度のことながら「要約」ではありませんのであしからず 笑

  

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自分の仕事にプライドを持つ

ピョートルさんは、NEW ELITEとしての仕事への向き合い方として、まず重要なこととして以下の点を挙げておられます。

 

仕事で自分が出しているアウトプットにプライドがあるか?

そして、アウトプットを出すまでのプロセスを楽しんでいるか?

 

そして、もし今仕事にプライドが持てていないのであれば、こういうことを考えてみようという提言をされていまして、これは別に特別なことではなく、いわば当たり前のことだと感じますが、私も強く同感しますので、ここは本文をそのまま引用したいと思います。

 

大企業に勤務する人たちは、自分たちのアウトプットにどんな意味があるのか、誰にどんな影響を与えているのかを見失いがちです。あまりに仕事が細分化していて、あまりに狭い世界で仕事をしているからです、

僕自身、大企業を訪ねると、時々暗い顔をした人に出会います。そんな時は決まって気が重くなります。

「私は企業の中でお客様と直接接しない部署で働いています。だから、自分のアウトプットが社会にどのように影響を与えているか実感できないし、他人から感謝される機会もありません。どうすればいいでしょうか?」

このような質問もしばしば受けます。

 

今、自分の仕事に自己実現の要素を感じられない人は、仕事の内容を見直す必要があります。アウトプットにプライドが持てず、プロセスを楽しめないような仕事を減らし、もっと価値のある仕事を増やす努力をすべきです。

 

それでも、どうしても限界があるという人に対して、僕は率直に言います。

 

「仕事を辞めればいいじゃないですか?」

 

今の仕事に不満足であれば、辞めて転職でも企業でもすればいいのです。今の仕事のやり方を変えるか、仕事そのものを変えるか。選択肢は2つに1つです。

 

もらう価値<与える価値

これも本当に同感ですね。

「いかに得するか」のゲームに汲々としすぎると、それは成長することをあきらめることでもありますし、そもそも楽しくないですよね。

ここの文章も非常に共感するので、以下引用したいと思います。

 

多くの人は、もたらす価値よりもらう価値を大きくするのに熱心です。たとえば、大手企業で簡単な仕事をして平均をはるかに上回る給料をもらっている人がいたら、本人も「おいしい」と思うし、皆も羨ましく感じる。特に組織が大きくなると、1人の仕事がどれだけの価値をもたらしているかが見えにくくなるので、隠れてラクをする人が多くなります。

 

でも、成功している人は、自分がもらう価値よりも圧倒的に多くの価値をもたらしています。僕は、大手企業で美味しい給料をもらって、価値をもたらしていない人を成功者だとは思いません。給料泥棒です。

 

僕自身、もらう価値よりも与える価値を大きくしたいと常に願っています。こうやって本を書いて出版するのも、1つの手段です。多くの人が本を読んで、勇気を持ってくれたら本当にうれしい。会社を変えようと動いたり、独立しようと決断してくれたら、大きな価値があります。

 

私も直接的にはお金にならないこのブログをせっせと書いていたりしますが(笑)、読んでいただいた方から感謝の言葉をいただくこともちょくちょくあり、そのときは本当にうれしく思いますし、いずれ回り回って、何らかの形で自分に返ってくると信じて、これからも書き続けたいと思います(・∀・)

 

マネタイズに汲々しすぎない

この言葉↓↓もすごく共感しました。

 

僕の場合、自分の仕事の3~4割はマネタイズして、6~7割は近い将来の土台を作るための投資にあてるのが理想的な配分です。

 

これはですね、藤原和博さんが「45歳の教科書」で書かれていた、「キャリアの大三角」の話に似ているなと思いました。それを言葉で説明しようとしましたが、ちょっと長くなりそうなので割愛することにします(笑)。気になる方は藤原さんの本を読んでみてください。

 

またちょっと話がずれますけど、このメンタリティに関する話は、

 レストランでウェイターに対してありがとうというのはおかしい

 という人の話にも通じるなと思いました。

そのようなことを言う方というのは、「完全に無機質なギブ・アンド・テイクの世界」に価値観を置いているので、

ウエイターにありがとうと自然と感謝すれば、そのウエイターは「このお客様にはサービスしよう」「丁寧に接客しよう」という気になって、接客態度が向上し、より気持ちよくサービスが受けられるようになるかもしれない

というところにおそらく想像が及ばないんですよね。もしくはそういうことには価値がないと思っているか。

さらには、ウェイターにため口をきく、横柄に振る舞うなんて人もたまにいますが、そういうのはその末期症状ですね。

これも生き方の選択の問題かなと思いますが、このような態度もOLD ELITE的と言えるんじゃないかなぁ、と感じました。

 

「仕事=苦行」という呪縛からの解放

この「仕事=苦行」というのもまさにOLD ELITE的ですね。というより、中学校の部活から脈々と受け継がれる日本の文化みたいなものですね。

そうじゃなくて、「仕事=楽しんでやるもの」というのがNEW ELITE的発想ですが、それは昨今の幸福経営、ホワイト企業大賞などの潮流と同じですね。それについて一冊書かれたのがピョートルさんの「PLAY WORK」ですが、それについては後日書く予定です。

で、ここでも共感した部分を引用しておきたいと思います。

 

前々から思っていたけど、なぜ日本のビジネスパーソンの多くが、仕事を「苦痛であるべき」と捉えているのか。彼らは、趣味の時間や家族との時間は楽しそうにしているのに、会社にいる時間は終始つまらなそうな顔をしている

 

苦痛を感じながらやったほうが生産性があがるとの信念を持っている。というより、苦痛を感じながら働くことが目的化している。学校の部活の上下関係やひどい考え方に、皆が10代のときに染まってしまっている。そんなメンタリティを引きずっているのが日本の職場。日本の部活が組織を殺す、と言っても過言ではない。

 

辛い仕事を今まで耐えて頑張ってきたのだから、他の人が楽しく仕事をするなんて許せない。楽しい仕事を認めてしまったら、自分の存在価値がなくなってしまう。だから、職場は苦痛でなければならない。そんな考え方だから生産性もあがらない。表面的に重々しくなくても、そんなムードに支配されている職場も多い。

 

でも、楽しくなければ仕事なんてできないのでは?楽しくないと、なかなかやる気も出ないし、実際に成果も上がらない。この単純な事実にもっと気付いてほしい。

  

「自己認識」と「自己開示」に強くフォーカス

先ほどの「仕事=苦行」からの続きになりますが、この「働き甲斐をもって働く」ということもNEW ELITEの特徴。

働き甲斐がビジネスに与えるインパクトは大きく、たとえば生産性は21%アップ、利益は22%アップするというデータもあるとのこと。 でも日本の働き甲斐=エンゲージメントは低く、2016年のエンゲージメント指数、世界平均の63%に対し、日本は38%。日本の従業員は世界で最も低いエンゲージメントランクです。

 

そして、ピョートルさんは働き甲斐を得ながら働く(しあわせに働き続ける)ためには、自己実現の3つのステップを意識することが大事と言っています。

 

1.自己認識

自分はどういうことを大切にしているか、どういうことにやる気が湧き、どういうことはやる気がでないか、平たく言うと、自分は何が好きで、何が嫌いかをしっかり認識する

2.自己開示

自己認識した内容を相手に伝える

3.自己表現

自己認識に基づいて、発信し、行動し、他者に貢献する

 

で、特に日本人に圧倒的に欠けているのが、最初の2段階である

1.自己認識

2.自己開示

であると言っています。

 

ピョートルさんの目からは、日本人にはFacebookでもプロフィール写真にネコやカフェの写真を使っている人が多いとのことですが、これも自己開示力のなさを表しているとのこと。

 

働き方改革も、必要なのは制度の整備よりも、自己認識と自己開示。働き方改革の本来目的は1人1人が活き活きと幸せに働けるようになるということのはず。自分がどんな人間なのか、何をしたいのかという「人の内面」を無視したまま、「残業禁止」といった制度だけ整えても、「活き活きと幸せに働く」という状態にはつながる気配もありません。

 

そして、その中でも日本において一番の課題は、日本の職場には安心して自己開示てきる場所がないこと。ちょっと酒を飲めば言えたりするけど、シラフだと無理。未だに飲みニケーションがないと自己開示できないのが日本。

 

またピョートルさんは、自己開示については女性の場合が特に難しいと言われています。ピョートルさんが女性たちからよく相談をうける内容が、男性上司のみならず、女性上司にも相談しにくいという話。一度は女性のリーダーに相談してみたことがあるけど、そのとき「私たちだって苦労して我慢してきたんだから、あなたたちもうまくやりなさい」などと言われたから、もう相談する気がなくなったというのです。

 

これは「上級生が下級生をいたぶるのは伝統だから」という部活文化そのものですね。もちろん、全てがそういうケースではないと思いますが、女性任用といっても「男社会を変えないまま女性を任用する」という形をとっていれば、いわゆる「チャック女子(※)」が培養されてしまうので、そういう組織ですとそのような悲劇は起きがちかもしれません。自己開示の場所がない問題、なかなか問題は根深いです。

(※)背中のファスナーを開けたら中からおっさんが出てくる女子

 

ただ、ピョートルさんも言っているとおり、「自己開示しやすい環境を作る」のはマネジメントスキルの1つであり、マネージャーの役割です。とはいうものの、それについて今まで全く教育もされてきていないというのが現状だと思いますので、私のほうでもそのスキルを磨けるような講座を準備中です。興味のある方はウォッチしておいてください(宣伝!w)

 

まとめ

以上、気になったところを抜粋してみましたがいかがだったでしょうか?

 

私自身、OLD ELITE的な生き方を目指すことを辞め、NEW ELITE的な生き方を目指す人生を歩み始めましたので、以下の5つの視点、意識して生きていきたいと思いました。

 

自分の仕事にプライドを持つ

もらう価値<与える価値

マネタイズに汲々しすぎない

「仕事=苦行」という呪縛からの解放

「自己認識」と「自己開示」に強くフォーカス

 

ということで、今回はこのへんで。