気ままに誤読録

著者の意図とは違うかもしれないけど、自分なりの気づきを「誤読」として紹介していく、そんな読書ブログです。

セキュアベース・リーダーシップ(ジョージ・コーリーザー)

感想を書きたい本が何冊か溜まっていますが、とりあえず昨日・今日の荒木マスターのVoicy(THE CULTURE CODE)とテーマ的に親和性のありそうなこの本から。とはいっても、非常に分厚い本なので、読む箇所を大胆にカットした斜め読みです( ̄▽ ̄;)

 

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スイスのIMDの教授さんの本ですね。IMDではリーダーシップ論と組織行動論を担当されているそうです。でもって、組織心理学者でもあり、臨床心理学者でもあるとのこと。

 

 この本が定義する「セキュア・ベース」の定義を引用するとこんな感じです。

 

守られているという感覚と安心感を与え、思いやりを示すと同時に、物事に挑み、冒険し、リスクを取り、挑戦を求める意欲とエネルギーの源となる人物、場所、あるいは目標や目的

 

ちょっと表現がカタくてややこしいのですが、私は、「安心感を与える」と「挑戦を促す」の両方を持った「場所」とか「人」のことだと理解しました。そして、この両面をフォロワーに対して提供できる人が、「セキュアベース・リーダー」ということだなと。

 

この「安心」と「挑戦」はあくまでワンセット。片方あるだけではうまくいきません。

 

「安心感」を与えるだけだと、過保護な状態となってしまい、そのように関わられた人の可能性が限定される。一方「挑戦」を促すだけだと、その人物は危険に身をさらされて不安になり、本能的に保身に走ってしまう。なので両方が必要ということですね。

 

一番イメージしやすいのが砂場の幼児ですかね。

 

お母さんという「安心して戻ってこれる場所」があるからこそ、砂場の探検という「挑戦」に出かけられる。で、なにかダメなことがあると、泣いてお母さんのところに戻ってくる。もしその場にお母さんがいなかったら、とても砂場の探検に行けないですよね。というか、そもそも公園にすらいけないですよね。

 

同じように、仕事の場面でもイメージできますね。上司が「失敗したら俺が責任取ってやるから」と言ってくれたら、部下も「よし、やってみよう」と挑戦できます。それが「いいからやれよ!」としか言われず、「失敗してどやされる悪い予感しかしねぇ」という感じだと、挑戦なんて全然したくないですよね。

 

で、ふと思ったのですが、たまに言われる「骨は拾ってやる」はどうですかね?ちょっと考えてみたんですが、一見セキュアベースに見えつつも、「おいおい、骨になる前に助けに来いよ」という気もしなくもないので、微妙ですかね(笑)

 

で、この本では、セキュアベース・リーダーの特性として次の9つが挙げられています。

 

1.冷静でいる

2.人として受け入れる

3.可能性を見通す

4.傾聴し、質問する

5.力強いメッセージを発する

6.プラス面にフォーカスする

7.リスクをとるように促す

8.内発的動機で促す

9.いつでも話せることを示す

 

ただ、「9つの特性すべてを体現しているリーダーは存在しない」ということも書かれています。なので、現時点でどの特性に強みがあるのか、どの特性がちょっと弱いのかをまずは現状把握しましょう。そしてそれら特性を地道に磨いていきましょう、といったことが書かれています。あと個人的な解釈を加えるとすると、強みをさらに伸ばしつつ、弱みのところは及第点を目指していきましょう、といった感じでしょうか。

 

今日か昨日か忘れましたけど、荒木マスターがVoicyで「時代的にオラオラ系のリーダーシップの終焉を感じる」というようなことをおっしゃっていましたが、このような本が増えてきているのはそういうことなんでしょうね。

 

落合陽一さんの表現だと、確かオラオラ系がリーダーシップ1.0、このような「心理的安全性」をベースにしたものがリーダーシップ2.0と言っていたと思いますが、これからのVUCAの時代、クリエイティビティが強く求められる時代の到来を考えると、まあ当然の帰結のような感じもします。

 

一方で、リーダーシップ1.0の強いリーダーが求められるのは、有事の場面でしょうね。会社レベルだと大トラブルがあったときとか。社会レベルだと震災とか、恐慌が起こったときとか。そういうリーダーが必要とされる状況にならないことを祈るばかりですが。

 

ということで、今日はひとまず、この本にどういうことが書かれているか、についてのおおざっぱな概要について書いてみました。

 

次回は、この内容から私がいろいろ感じたこと、特に幸福学、幸福経営との親和性などについて書いてみたいと思います。

 

ということで、今日はこの辺で。