気ままに誤読録

著者の意図とは違うかもしれないけど、自分なりの気づきを「誤読」として紹介していく、そんな読書ブログです。

fika(フィーカ)(芳子ビューエル)を読んで「北欧の休み方」ってなんかええなぁと思った話

この本を手に取ったきっかけはもう忘れてしまったのですが、なんか気になったんでしょうね(^^;)

 

昨今日本では「働き方改革」が提唱され、その中身のピントがずれてるという議論はともかくですね、

 

「働き方」を改革するのではれば、「休み方」もセットで考えないとだめですよね?

 

で、その「休み方」は”fika”に代表されるような北欧を参考にしてみませんか?

 

といった趣旨の本でございます。 

 

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fikaとは

 

fikaとは平たくいうと北欧式の「コーヒーブレイク」的な意味合いの言葉です。もともとはスウェーデンで20世紀初頭に生まれた文化で、その後北欧全体に広まったそうです。

 

fikaの目的は、「リフレッシュ」と「コミュニケーション」。だから、fikaで何を話するのかというと、「無駄話」です。仕事中に行うfikaは、午前午後に1回ずつ、それぞれ15分~20分くらいオーソドックなパターンで、たとえどれだけ忙しくても、彼らはこの時間を欠かすことはないそうです。

 

一日中机に向かって頑張り続けても作業効率は落ちるだけだし、適度に時間の区切りをつけてリフレッシュする。お茶を飲みながら、ちょっとリラックスして、頭と気持ちを切り替えて、新たな気分で仕事に戻る、そういう習慣がfikaの本質とのことです。

 

fikaの良いところ

 

職場でのfikaでとらえると、貴重なコミュニケーションの場であり、何より誰とでも話せるということがfikaの良いところです。

 

同じ部署の人のみならず、普段の仕事ではあまり関りがない人とか、「ちょっと話してみたいな」という人がいれば、気軽に話しかけることができるところですね。

 

これは日本でも「お茶しません?」という表現がありますが、それとは心理的は全く異なるイメージですね。fikaは「誰とでも他愛のないことをしゃべる」ということが文化として浸透しているので、誰かと話すことに対する心理的ハードルがめちゃくちゃ低いんだそうです。だから役職がむっちゃ上の人に対しても、気軽に「fikaしません?」と言えちゃう感じってことでしょうね。

 

fikaの効果

 

北欧はご存知のとおり、高福祉高負担の国であり、その裏返しとして「富裕層に成りあがる」というのが難しい国でもあることから、「成りあがってやる!」という野心や強烈な向上心は相対的に低い国だそうです。そして、それが嗜好にも反映されて、ギラギラしたものよりも、シンプルで地味なもの、「一瞬もの」ではなく「一生もの」を好む傾向にあるとのことです。

 

でも、そんな野心が低い状況にありながらも、北欧の1人あたりGDPは高いことで有名。北欧の2018年の1人あたり名目GDPは、4位:ノルウェー、10位:デンマーク、12位:スウェーデン、15位:ノルウェー、ちなみに日本は26位です。絶対値でみても、凡その日本円換算で、ノルウェーと100万円、デンマークとは200万円、ノルウェーとは400万円の差があるので、日本よりもかなり生産性が高い国と言えます。

 

じゃあなんで、野心や向上心も強くないのに、生産性が高いのか?

 

まあ様々な要因があるのだと思いますが、1つは幸福度があると思います。2019年発表の世界幸福度ランキングは、1位:フィンランド、2位:デンマーク、3位:ノルウェー、7位:スウェーデン、58位:日本です。

 

そしてそれら北欧諸国の幸福度の要因は「高負担高福祉」とよく言われたりしますが、私はこのfikaも一役買ってるのではないかと思いました。

 

これまでも何度かご紹介していますが、慶応大学前野教授が提唱する幸福の4因子のうち、「ありがとう!因子(つながりと感謝)」と「ありのまま!因子(独立と自分らしさ」の2つの因子がfikaによってものすごく満たされると思うんですね。そしてそれが波及して、「なんとかなる!因子(前向きと楽観)」「やってみよう!因子(自己実現と成長)」も満たされるんじゃないかと思います。

 

そして、その4つの因子が満たされて幸福度があがると、生産性は1.3倍、創造性は3倍になりますので、野心が高くなくとも、このfikaが浸透している北欧諸国は1人あたりGDPが高いというのは個人的に納得です。

 

ちなみにロハス的な空気の本ではありません 笑

 

ちょっと話は変わりますが、「世界一幸せな北欧の休み方」なんてタイトルをみると、なんかロハス的な空気を感じませんか?

 

でもですね、この本の著者、芳子ビューエルさんはそんな生き方とは対極な、むっちゃマッチョな起業家です 笑

 

ものすごく端折っていうと、マッチョに働きすぎてしんどくなっているところに、仕事の関係で北欧に関わるようになり、そこで北欧の「休む」文化に触れ、「これはいい!」ということで、いろいろと「休み方の工夫」をされている方、という印象です。

 

でも、基本マッチョな空気をビンビンに感じます!

 

休み方の工夫については、fikaもそうですが、その他いろいろなことも北欧文化をヒントに取り入れられています。ここではそれらには触れませんが、気になった方は本書を手に取っていただければと思います。なかには、「これ、北欧とは関係なくないっすか?」と感じるような部分もありますが^^;

 

ということで、今回はちょっと毛色の変わった本のご紹介でごさいました。