【やりたいことがある人は未来食堂に来てください】(小林せかい)
非常に有名な食堂のようですが恥ずかしながら今まで存じ上げませんでした。日経ウーマン・オブ・ザ・イヤー受賞者、小林せかいさんの3冊目の著書。
一通り読んでみて、本当に示唆に富みまくる話ばかりで、どの切り口から感想を述べようか迷う感じなのですが、まあ先日ライフシフトセミナーやったばかりなのでその切り口からいうと、まさにライフシフトど真ん中な感じで進まれている方だなと。
ライフシフトで一番のキモとなる変身資産の「深い自己認識」から、「誰もが受け入れられ、誰もがふさわしい場所を実現する」という目指したい世界(ビジョン)を描き、その実現に向かって突き進まれています。
で、その実現に向けての最初のステップとしてなぜ食堂を選んだかまでは書かれてなかったように記憶していますが、「未来食堂」を通じてそのビジョンを実現するために、サラリーマンを辞めたあと1年半猛烈な修行をします。
そもそも料理はド素人だったので、図書館で本を数百冊読んだり(6棚分!)、修行中は6つの飲食業種をまわって学んだり。
で、面白かったのは、せかいさん自身は1人で飯食うなら1日ポップコーンをちょいちょいつまんで過ごすくらいの「食に興味のない人」。
「じゃあなんで食堂を選んだんやww」という感じもしないわけではないですが、ここで言いたいことは、「料理を作る」ということ自体は、せかいさんにとっては特段やりたいことではなかったこと。
でも、自分の目指したいビジョンは猛烈に実現したいので、その手段となる料理は「好きじゃないけど、必要だから猛烈に学んだ」ということ。
最近世の中には「好きなことをやって生きよう」的な話が多く囁かれていますが、言いたいことはわかるし、僕もそのスタンスだけど、すごく誤解を生む表現だなと。
「好きなこと」というより「やりたいこと」のほうが適切だと思うとともに、この表現って好きなことばーーっかりやって享楽的に生きる、というイメージを生んじゃいますよね。
本当の意味はそうじゃなくて、まさにこのせかいさんのような生き方のこと。
自分が本当にやりたいこと、目指したい将来像を描き、前に進むこと。
で、前に進むにあたっては、当然嫌なこと、気の向かないこともやらないといけない。
そういう場面でも、ビジョンの実現(=やりたいこと)のためにという想いがあれば、エネルギーが湧いてなんとかやりきれるという、そういう生き方。
Wantsだけウェーイってやるんじゃなく、WantsのためにやりたくないMustもグッと踏ん張ってこなしながら前に進んでいくという生き方。
まさにそれが本当の「やりたいことをやる生き方」の意味であり、ライフシフト的な生き方でもあり、リーダーシップの旅でいうLead the Self的な生き方でもあるよなぁ、なんかいろいろ繋がってくるなぁと感じる秋の夜でございます。
で、目指したいビジョンを実現するための手段は、食堂だけとは限らない。
次のステップとして食堂とは違う別の手段も当然考えられる、とせかいさんは仰っています。
僕も全く同感です。
何を目指したいのかという個人としてのビジョンが人生の軸として定まっていれば、手段としての「何をやるか」は可変でかまわない。
せかいさんのネクストステップ、個人的に要注目です。
あと、せかいさんの生き方そのもの、特にウーマン・オブ・ザ・イヤー授賞式のスピーチがカッコよすぎる(・∀・)
良い本ダナーと思ったので、気になった方は読んでみてはいかがでしょうか。