続「ビジネスの限界はアートで超えろ!】(増村岳史)」を読んでいろいろ感じたこと
前回は一部だけを読んだ感想でしたが、全部一通り読みましたので、感じたこと、思ったことをつらつらと書いてみたいと思います。
「アート」に関するいろいろなことや「アートとデザイン」の違いなどについても書かれているのですが、自分に矢印を向けた率直な感想としては、「あー、意外と自分もアート的な要素を使ってるんだな」ということ。
かなりの左脳よりの人間であり、控えめに言っていわゆる「絵心」は皆無な私でございますが(笑)、「絵心がない≠アート的な要素がない」というのが個人的な一番の気づきですかね。
この本では、アート、デザイン、サイエンス、テクノロジーを4象限でこんな感じに整理されています。
ちょっとこれだけだとアートの定義がわかりにくいので補足すると、アートは自分の中にあるものを表現する行為で、その結果として問題提起や価値創造につながるということですね。一方もう1つの感性の要素である「デザイン」は、誰かの課題解決という外発的な働きかけによって実施されるもの、というところがアートとの大きな違いとして説明されています。
たとえば、ウォーク・マンは井深大が「大好きなクラシック音楽を飛行機の中で聞きたい」という欲求から営業部門の大反対を押し切って今までにないゼロ→イチの価値創造をしたという意味でアート・シンキング的な事例として書かれています。またスティーブ・ジョブズがiPhoneを作ったのもこれまた同様のゼロ→イチ的の価値創造をもたらしたアート・シンキング的事例ですね。
また、デザイン思考の例としては、あるアメリカの空港でのチケットを読み取る新たなハンドデバイス導入の事例が書かれています。ハンドデバイス導入しても結果は改善するどころか悪化したので、その課題解決にデザイン思考のチームが導入され、デザイン思考の1つの特徴である「じっくり観察」をしてみた結果、原因は空港職員のユニフォームとデバイスを置く場所にあることがわかり(デバイスの機能不備ではないことがわかり)、解決に至ったという話が挙げられていました。
そのような「アート」と「デザイン」の定義を踏まえたうえで今の自分を振り返ると・・・
たとえば今私はある講座のコンテンツ作成をここ4ヶ月ほど取り組んでいるのですが、
・講座の全体の構成と流れをどうするか
・各個別回の全体の構成と流れをどうするか
・各個別回の1枚のスライド単位の構成と流れをどうするか
・そのうえで、各スライドで使うメッセージや絵の見せ方をどうするか
ということに常々頭を悩ませながら作業に取り組んでいて、毎日作品を作るような感覚で取り組んでいるんですね。
で、この作業自体は誰かに依頼されたものではなく、「もし自分が対象者なら『これはぜひとも受講したい!』と思える講座を作りたい」という「内発的な欲求による創造行為」そのものですので、これはアートと言っていいんじゃないかと。
また、この作業はどのロジックを選択し、それらをどうつなげるかに頭を悩ませていることでもありますので、当然サイエンスの側面もあります。そう考えると、「サイエンス×アート」の取り組みをやっているんだなと、自分の中では腑に落ちました。
で、ちょっと話は変わってアート・シンキングの力を磨くための「素振り」に該当するのが「デッサン」なのですが、巻末にちょっとやってみようという感じでワークのパートがあり、やってみました。
まずこちらです。ドン!
何でもいいから書いてください、という指示だったのですが、ひでぇww
私は目の前にあった日産レパードのミニカー(あぶない刑事仕様)を書きました。この「書いたものの選択」から言えることとして、私は超現実主義者だそうです。具体的なものを描き、時間軸が現在に近ければ近いほど、目の前にある現実的なものに向き合う思考が強いのだそうです。うん、正解ですね(笑)
続いてのお題がこちらです。
これは岩の上にたたずむおじさんの絵ですが、手本があって、それをみて書いてください、というお題ですね。
で、このお題のキモは、
「手本を上下逆さまにして、それをみて書いてください」
というところでした。
↓こんな感じ
上下逆さまにみると、これが何の絵かよくわからなくなりますので、
要は意識として、
「人物を書く」のではなく、
「ただの線の集まり」だと思って書いてください、
ということですね。
で、逆さのおじさんを手本にしてササっと書いてみた絵がこちらでございます
ドン!
どうでしょう?
絵心ゼロの自分としては、なかなか上出来やないっすかね!(・∀・)
ちょっと左腕が長い気がするけどねww
書き終えて上下逆さまにしてみたら、おおっ!と思わず声が出てしまいました(笑)
これは、「人物を書くというバイアスを除いて、素直にそのものをみる」という効果だそうです。人を書こうとすると、見たままじゃなくて、たぶん目はこの辺とか、そういうことを勝手に判断して書いちゃうわけですね。その結果実態とずれてしまうと。
ということで、このデッサンのトレーニングをすると、ビジネスにおいても、バイアスをかけずに素直に物事をとらえるトレーニングになる、と言えますね。
これはほんの一部分ですが、ビジネスパーソンもアートを学べと言われる目的は、どうもこういうところにあるようです。
そんなことを考えていると、
著者増村さんが主宰されているアート・アンド・ロジックの講座、
ちょっと受けてみたくなったなぁ、
と思ったところで、今日はおしまいです。