ダメなあいつを、なんとかしたい!(心屋仁之助)
ローランド氏の感想を書きたい衝動を抑えて、まずこちらでございます。
心屋仁之助さんの「ダメなあいつを、なんとかしたい!」
うーん、これもいろんな感想が去来する本でございました。
同棲中の30代独身女性と「ダメ男」のストーリー仕立てて話が進んでいくわけですが、必ずしも「付き合ってる男女関係における頑張る女性とダメな彼氏」という話ではなくて、性別、役割問わず、いろんな人間関係に応用できる話なんですね。
主人公の女性は、昔は働いていたけど今は働いていない彼氏のために、私が支えてあげないと彼はやっていけないから、という感じで、猛烈に彼に尽くします。が、尽くせど尽くせど、彼との関係は悪化するばかり。
で、普通は「そんなダメ男、さっさと別れろよ」という話になると思いますが、
そんな「ダメ男」を作ってるのは、実はあなたなんですよ(@_@)
という、まさか!というお話です。
抽象化すると「自立と依存」というテーマになると思いますが、この女性はある意味自立し過ぎているんですね。困っている人をみかけたら「とにかく助けてあげなくちゃ」と思って「よかれと思って」なんでも自分でやってしまう。とにかくなんでも自分が引き受けてしまう。彼との関係だけでなく、仕事でもそうなんですね。困っている上司、同僚、部下をみたら助けずにはいられない。
これは素直にとらえると、ほんと素晴らしい人ですよね。
みんなからものすごく頼りにされる人です。
ただ、その結果、本人が幸せになっていたらいいのですが、もしですよ、かえってしんどく、苦しくなっていたとしたら、、、ちょっと考え直してみませんか? というお話です。
考え直す点として1つは、よく言われることですが、
「人を助けすぎるというのは、相手の貢献機会を奪う」
ということ。
人間は社会性の中で生きる動物なので、アドラーも言うように「他者に貢献できている」ということはものすごく幸せなことです。
逆に「自分は貢献できてない」と感じると、人はいたたまれなくなり、その場を離れたくなります。そして自分が貢献できる別の居場所を探し始めたりします。仮によかれという想いで、やさしく言われたとしても、です。この本における彼との悪化の原因はそこでした。
そして考え直したほうがよいもう1つの視点は、
「人を助けすぎると、”助けられたい依存症”の人たちを呼び寄せてしまうこと」
そういう人たちが次から次へと押し寄せてくるので、永遠に楽になりません。仕事でもそういう人がすぐにたかってきてしまう。これは、そういう人たちに「えさをやっている」状態ですね。
で、本書のテーマは、
彼女はなぜ、こんなに人を助けたいと思っちゃうのか?
ということです。
アドラーの目的論の考え方でいうと、
どんな目的を達成したいと思って、めっちゃしんどいにも関わらず、人を助ける行動を続けているのか?
ということですね。
それは何故か。
結論からいうと、
”人の役に立たなければ、自分の価値がなくなってしまう”
と、彼女自身が思い込んでいるからなんですね。
「人の役に立たなかったら私死んでしまう呪縛」に囚われているとでもいいましょうか。
この本の中でですね、いろんな「ダメ男さん」を抱えている女性のみなさんが集まって、誤解を恐れずに申し上げるならば、傷をなめ合う場面があるんですね。そこで「ダメ男に尽くしているのは、無償の愛だ」という言葉を誰かが発し、「そーだそーだ!」と皆頷くわけです。
でも本当は、、、
「自分に価値がないと思わずに済む」という目的を実現するために、その手段としてダメ男を助けまくっているわけです。
これだけダメ男を支えているんだから、自分には価値があるんだと。
※念のため繰り返しますが、これは性別、立場を逆転しても同じことが言えます
で、ここで「無償の愛」という言葉について考えたんですけど、確かに「見返りを求めない尽くし」という点では、無償の愛のようにも思えます。
ですが、よくよく考えるとそれは違いますよね。何が違うというと、無償の愛は、本当の意味で辛くはならないはずなんですよ。
一方で、かんばっているけどすごくしんどい、すごく辛い、というのはどこかで無理が生じているということ。
もうお分かりかと思いますが、
辛いのは「愛」からの行動ではなく、「怖れ」からの行動だからなんですね。
今回の場合は、
「自分に価値がなくなってしまうという怖れから、ひたすら人の役に立つ行動に走ってしまう」
ということですね。
なんだか悲しいですよね。「良いこと」をしているはずなのに苦しむなんて。
私自身も似たような部分があるので、これはちょっとつらいです。
では、この女性の場合、どうしたらいいのか?
この本に書かれている対処法は、「頑張ることをやめること」、もっというと「嫌なやつになってみる」ということでした。
正直、私も「えー、そんなことで?ほんまに?」という感想でしたが、心屋さんの膨大なカウンセリング実績からすると、それが真実だそうです。
「嫌なやつになってみる」という対処で、ガラっと解決しちゃう例がごまんとあるそうで・・・。
いやー、私もそうですが、「まじめに頑張る教」で生きてきた人には怖いですよ。嫌な奴になるってのは( ̄▽ ̄;)
でもまあ、そういうことだそうです。
で、ちょっと話は戻って、
じゃあなぜこの本の彼女は、
「人の役に立たなければ、自分には価値はない」
と強く信じるようになってしまったのか?
そのキーワードは「妖怪かわいそう」、、、なんですけど、それについて書き出すとブログもう1本分になるので今日はここでやめときます(笑)
と、まさか、、、この本がブログ2回シリーズになってしまうとは、、、いやはや。
ということで、次回は引き続き、
「妖怪かわいそう & 妖怪 ”自分が” かわいそう」編
をお送りしようかと思います。