気ままに誤読録

著者の意図とは違うかもしれないけど、自分なりの気づきを「誤読」として紹介していく、そんな読書ブログです。

英雄の書(黒川伊保子)を読んでこれから失敗したらニヤついてやろうと思った話

友人から薦められて手に取った、 「男性脳・女性脳」で有名な脳科学者であり、1980年代前半からAIの研究をされてきた黒川伊保子さんの著書でございます。

この本の趣旨を「はじめに」から抜粋しますと

人間の仕事は、人とは違うことに気づき、それを好奇心で追求し、失敗を糧として本質を見極め、自尊心を持って世に投じる能力に集約される。

マニア力こそ、ビジネスセンスの基本になるのだ。本当は太古の昔からそうだったのだけれど、AIの登場で、その純度が高まったのだと思う。

そして、この本は、大人のマニア力を極めるための本なのである。

ということです。 

 

そして、タイトルのとおり、「その他大勢」として生きていくのではなく、英雄として生きていくためにはどうすればよいか、が書かれた本です。

 

いまこれを書いている時点で私の頭の中もまだ混沌としていますので、ブログを書く作業と、頭を整理する作業と、平行して進めていきたいと思います。

 

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1.失敗にまつわるお話

まず、「頭がいい=いい脳」とはどういうことか。

黒川さんは動物の認知を例に説明されています。

たとえば、目の前を横切った黒い影が、猫だとわかるためには、猫を認知する回路にだけ、すばやく信号が流れる必要がある。このとき、象を認知する回路にも、ねずみを認知する回路にも信号が流れたら、「これがなんだかさっぱりわからない」という事態になる。影に怯えながら、一歩も前に出られない。

必要なときに、必要な回路にだけ、すばやく電気信号が流れること。

つまり、豊かな回路を持ちながら、それらの回路たちに、状況に応じた、しっかりとした優先順位がついていること。

これこそが、いい脳の定義であり、成功者の脳の必要条件なのである。

 

そして、そんな「いい脳」になるためには、失敗して痛い思いをするしかないとのことです。具体的には以下のようなロジックです。

  • 失敗すれば、失敗に使われた脳の関連回路に電気信号が流れにくくなり、失敗する前より、失敗しにくい脳に変わる
  • 逆に成功すれば、成功に使われた関連回路に電気信号が流れやすくなる
  • そして、成功体験を劇的に増やし、大切な回路に何度も信号を流して「本質の回路」に昇華させるためには、その前に、十分に、無駄な回路を切り捨てておく必要がある
  • その無駄な回路を捨てる、成功への基本エクササイズこそが「失敗」
  • 失敗の数が多いほど、失敗の「取り返しのつかなさ」が深刻なほど、脳は研ぎ澄まされた直観を手にする

 

このように、「どれだけ良質な失敗を、数多く経験するか」が「いい脳」に進化させるキモなわけですので、「失敗を人のせいにして、失敗とちゃんと認知しない人」「失敗しないようにチャレンジしない人」の脳は「いい脳」にはならないということも言えます。

 

また、失敗を「脳の進化」につなげるためには、睡眠が大事になります。

睡眠という「脳の持ち主が眠る」状態になって、脳はようやく手が空いて、新しい知へと手を伸ばすことができるのだそうです。

具体的には、起きている間の体験を何度も再生して、そこから知識や知恵を切り出して、過去の知識と比べて精査して、知識ベース全体の質を見直す。そして、古い知識と統合して抽象化し、センスも創りだす。そんな作業を睡眠中に脳は行っているとのことです。なので、黒川さんは、0時までには寝て、朝日とともに起きる、といった習慣を推奨されています。

 

このように、「失敗は脳の成長になる」ということが脳科学的に証明されているということですので、今後もろもろ失敗の場面に出くわしたときは、冷静になってこの話を思い出し、ふっとニヤつく、そんなマインドで生きていきたいと思います(笑)

 

2.孤高・自尊心・使命感

ここの話はですね、誤読を恐れずに書いていきますと、まさに私がライフシフト講座で取り組んでいることと合致してることだと感じました。

 

【孤高】

孤高を恐れるなというメッセージは、SNSなどで四六時中共感の世界にどっぷり浸かるのではなく、自分と向き合う孤高の時間を持ちましょう、ということ。なぜなら、孤高の時間を持たないと、自分オリジナルの世界観を作れないから。そして、この自分オリジナルの世界観を見つける作業というのは、まさに私がライフシフト講座の中で実施している「才能プロファイリング」そのものです。

 

この本では、意図的に孤高の時間を確保して、右脳と左脳の連携を断った「ボーっとしている時間」を持ち、右脳と左脳に電気信号を行き渡らして、周囲のノイズに惑わされることなく、自分オリジナルの世界観を見つけましょう、という感じで書かれていますが、才能プロファイリングでは1on1のインタビューと分析によって見つけていきます。

 

才能プロファイリングでは、インタビューしているときは心理的安全性を確保したうえでどんどん話を掘って聞いていきますので、「話しているうちにいろいろ思い出す」ことがよくあります。あの事象を「脳内に電気信号を行き渡らせる」という視点で改めて捉えなおすと、電気信号が普段は届かない脳内のエリアまで行き届いた結果、「思い出す」のではないか?と思いました。となると、アプローチが違うだけで、狙っていることは一緒のような気がしてちょっと嬉しくなりました。

 

【自尊心】

「自尊心」については、「許せないこだわり」といった内容で書かれています。たとえばシャネルの事例で「恥じらいをもったエレガンスを、本当の女たちのために、戦い、守る」といったこだわりを守るために、「膝を出すミニスカートは許せない」と語ったように。

そしてライフシフト講座でこの「許せないこだわり」に該当するのは、才能プロファイリングの結果、導かれる「コア・コンセプト(自分軸)」です。

 

【使命感】

そして最後の使命感。

孤高の時間をもって内省し、自尊心のコアとなる「許せないこだわり」を見つけ、そのこだわりを軸に、自分の命を社会のために使っていくのが英雄としての使命。

ライフシフト講座にあてはめると、コア・コンセプトの延長線上にある、セルフイメージ、個人のミッション・ビジョンに該当する部分です。

ここでは黒川さんのメッセージを引用したいと思います。

自分より大切な誰か、を心に掲げよう。

その人を傷つけたくない、喜びを与えたいと考えよう。

ビジネスパーソンなら、それが顧客であるべきだし、アーティストなら、ファンの人たちかもしれない。アスリートなら、家族やコーチということもあるだろう。「社会」「世の中」のような漠としたものじゃ、脳には、あまり効果はない。

 

大切な誰かを守ること。それ以上の使命感はない。

 

4.英雄になれ=上質の異質になれ

黒川さんが尊敬する上司から言われた言葉。

それが「圧倒的に上質の異質になれ」という言葉。

 

そして、黒川さんがこの本の主旨を一言で表す言葉も、まさにそれだと仰っています。

失敗を恐れず、孤高を愛し、自尊心と使命感によって手に入るのは、上質の異質であるあなただ

 

 

以上、この本を振り返りつつ、まとめてみました。

 

改めて個人的な振り返りとしては、「孤高→自尊心→使命感」のところは、まさに私の想いと同じであり、提供している講座と一致していることが確認できました。

 

あとは使命感に沿って歩み始めた後、様々な失敗を経験するとき、その失敗が「英雄の脳」への進化の糧となる、その意識を自分としても強く持ちつつ、講座を受講していただく皆さんにも、しっかり伝えて応援していきたいと思います!

 

ということで、今回はこのへんで。