【日本一社員が辞めない会社】(小池修)②
続編です。
前回はどちらかというと前座的なビジネス的側面のお話しでしたけど、今日は本筋のお話。
離職率の高い介護業界において、定着率をどうやって96%まで持って行ったか、についてです。
著書の小池さんはそれを4つのステップで説明しています。
<① 理念>
理念を確立し、会社の存在目的を共有しているか?
<② 体現>
社長やリーダーが理念を「体現」しているか?
<③ 信頼>
社員の味方となり、信頼しているか?
<④ 支援>
社員のやる気を「支援」しているか?
それぞれのステップについて事細かな解説は割愛しますが、まず①と②については、経営者のリーダーシップの話ですね。
以前書いた「リーダーシップの旅」の文脈でいうと、
①は、”あそこに行ってみたい”と思える、沼地の向こうに見える希望の光。
②は、その光に向かって勇気をもって、覚悟を定めて沼地を進んで行くという”Lead the Self”の姿勢。
リーダーがそういう姿勢をとって初めて、部下はリーダーについていきたいと思う。そういうお話しじゃないかと思います。
それが定まった後はビジョンマップを使うなど、脳科学の活用というテクニック的なことも入れていますが、一番大事なところはやはり社長自身が「行きたい先」を決め、そこに自ら本気で進んで行くという「Lead the Self」をいかにみせるか、だと思いました。
そして③と④については従業員との関わり方の話ですが、内容は私が行っているアドラーコミュニケーションセミナーでお伝えしていることとかなり近いですね(^^;)
「人は誰もがダイヤの原石」は「人は誰もが人生の主人公」と考え方が非常に似ていますし、「他人と自分は絶望的に違うことを知る」の部分は「認知論」や「自分軸」の話に通じます。
ほかにも
「社員にプラスの関心を持ち、社員の価値に気づく」
「共感+Iメッセージで感情を伝える」
「ほめる環境を作れば、社員は辞めない」
「8ほめて、2惜しい、の絶妙レシピ」
「社員の夢と会社の夢のベクトルをあわせる」など、
話を抽象化すると、言っていることはアドラーコミュニケーションと驚くくらい似ています。
アドラーコミュニケーションは職場の活性化などに効果絶大だと思ってお伝えしているのですが、本書からもその成果の実例を知ることができた感じがしてうれしく思います。
やはり職場内のコミュニケーションの要諦はここらへんが本筋なんだろうな、と改めて強く感じました。
また、これらのコミュニケーション方法をワークさせる前提として、社長と社員の1on1があります。
社長の小池さんは3カ月に一回、全社員と面談しているとのことです。なので、社長が「部下全員の関心事」について把握しています。
だからこそ、「社長は自分のことを分かってくれている」という信頼感が社員側に生まれ、社長と社員の対話を通じて「社員の夢と会社の夢のベクトルをあわせる」ができるんでしょうね。
今回の事例からも、1on1は絶対にやったほうがいいと改めて思いますが、やり方を間違えると逆効果になるので要注意です(^^;)
じゃあ1on1にどういう姿勢で臨めばいいのか?については、この本の上記<③ 信頼>の箇所をよく読めばヒントがいろいろ得られると思いますし、もしくはそこらへんを2時間みっちりお伝えするアドラーコミュニケーションも来年以降また開催しますので、興味のある方はご参加いただければと思います(笑)
ともかく、社内でのコミュニケーションにおいて非常に学びになることが多く、その辺りに興味がある方は読んでみて損はない一冊かと思いました🙂